昔の夢 10


 出張先の朝飯 



石を投げれば回転寿司屋さんに当たるとはいかないにしても、たくさんのお店がある。
  
回転寿司屋さんが多くなってきて、寿司好きの小生なぞには、
どこに出掛けても安くて美味しい寿司が食べられるので大変便利である。
   
ところで、出張先のホテルで一番困るのが、朝食 である。
 
大抵のホテルは1,000円から1,500円ぐらいの朝食を用意しているが
前夜のお酒が残っていたりして、余り朝から食が進まない日が多いので
和食より、トーストにコーヒーなどの軽食程度で済ませるのが常である。
   
ところが先日利用したホテルは和食のメニューしかなく仕方なく、
喫茶店のモーニングで済まそうと、朝の町へ出掛けた。
   
駅の方へ歩いて行くと、回転寿司屋さんが朝の早くから開店 しているではないか。
いくら小生でも、朝食から回転寿司を食べたいとは思わない。
   
興味本位で店の前まで行くと、なんとコンベアーの上には寿司ではなく、
焼き魚 が廻っているではないか。
ご飯と、焼き魚と、漬け物が廻っている。
お客は全員がサラリーマンで、席に着くとみそ汁が運ばれてくる。
   
定額(低額)料金で素早く朝食が食べられると言う訳である。
  
全国のあちこちで、寿司コンベアの設置してあるお店は、俗に言う二毛作 を始めだした。
居酒屋と回転寿司、うどんと回転寿司、飲茶と回転寿司などがそうである。
 
時間帯を区切って、ベルトの回転を止めて商売をしたり、
ベルトの回転を利用して寿司以外の食品を廻したりして売り上げを伸ばしている。
 
たとえば、隣りのお店が同じオーナーの経営で、豚カツ屋さんの場合は、
豚カツ屋さんで寿司を注文する事が出来るのはあたりまえであり、
これは、豚カツ屋さんの二毛作であるが、朝は、回転寿司屋さんで朝定食 が食べられる。
  
これからは、ますます、回転寿司屋さんのマルチメディア化(コンビニ化)が進むし
反面、回転寿司屋さんの高級志向も進んでいる。
 
小生が家族連れで回転寿司屋さんに行く場合は、回転寿司屋さんの中でも低価格 のお店を選ぶ。
なぜなら、高校生や中学生の食べ盛りの子供を連れて、
高級回転寿司屋 さんには行きたくないし、行けない。
 
回転寿司屋さんに行く前に、マクド*ルドでハンバーガの1つも食べさせて から行きたいくらいである。
 
愚息たちも親譲りのグルメ揃いで、一皿120円均一のお店に連れていくと不平が出る。
つい数年前までは、喜んでいたガキどもが評論家になり始めた。 
 
そろそろ、ボーナスの時期であるが、
たまには、貴方も家族連れで高級回転寿司屋 さんに出掛けてはいかがですか。
 
時と場合でお店を選べるほど沢山のお店があるのは、我々にとって嬉しい限りである。 
 
    


 取材拒否 

 
 
今日、食べに入った回転寿司屋さんの入口にこんな張り紙があった。

某テレビが近日中に当店を取材!
放送日は**月**日
  
各放送局が競って回転寿司関係の番組を放映しているが、
取材費が安い割には視聴率が稼げるので各放送局が競って
回転寿司の話題を取材に来るのである。
 
当然、寿司コンベアー機の大半が松任市 (石川県)で造られているので、
この地をはずしては、番組は成り立たないのである。
 
当社の社長も最近は取材慣れしてしまい、取材のたびの散髪屋通い も無くなった。
 
あるテレビの新人アナウンサーが初めてテレビに映る時に、
下着まで新品に着替え てカメラの前に立ったそうであるが
最初の頃は社長も結構緊張していたみたいであった。
 
取材の毎に同じ話題を持ち出す訳にもゆかず、
営業部長が出演する場合が多くなってきたのもその為であろうか。
 
その結果、取材された番組が放送される毎に当社の映像資料が増えてゆき、
今ではビデオラックからはみ出し、野積みにされている始末である。
 
取材と云っても、カメラマンと照明(兼音声)係り、それに見たことのない女性アナの3人である。
その他に、一寸有名なタレントが一人、ほんの数時間、顔を出してすぐに東京に帰ってしまう。
 
時として、一泊した場合は、翌日の朝のラジオのローカル番組に出演していたりし
タレントと言うのは色々使い廻しの効くものと、改めて感心している。
   
 工場の取材のついでと言っては失礼であるが、近所の回転寿司屋さんが取材されるのである。
嘗ては取材と云っても、映像に映るのは大半がサクラ的存在の人物が多いようであった。
 
中には当社の営業マン が映っていたりして、爆笑した事も何度かあった。
   
だが、最近はそんな事も少なくなって来て
方言を丸だしのおばさんを映し地方色を感じさせているが、
地元の人間としてはちょっと恥かしい。
 
この様にしてメディアに乗った回転寿司屋さんは当分の間、繁盛店として話題になり
長蛇の待ち席の順番が出来てしまい、回転寿司通には迷惑な話 である。
 
折角、探し出した美味しいお店も、足がとおのいてしまう。
 
ラーメン屋さんの中には、取材拒否のお店もあったが、回転寿司屋さんの取材拒否は聞いた事が無い。
お客の事を考えてそろそろ取材拒否のお店が出てきても良いと思うが
取材されるのは味のステータスシンボルと考えれば、拒否が出来ないのも無理もない。
 
面白いことに取材拒否を売り物にして、その様子を取材して放送していた番組もあった。
 
中には大した味ではないのにうまくメディアに乗ってまい長蛇の待ち席の順番が出来ているお店もあり
メディアの恐ろしさを痛感させられる。
 
インターネットの情報量なぞは、大した影響もないがテレビの影響力は絶大である。
 
その内、このホームページも有名になれば、テレビに取材されるようになるかな。
そうなれば、一日のアクセス数は、?*千件ぐらいで、メールの返信に忙しくなる。
 
これは大変な事になるぞ!
 
当ホームページはテレビの取材を拒否 します。(笑)  
 
 


 回転展望台 



最近の回転寿司屋さんの店内の内装は
一昔の回転寿司屋さんと比べものに成らないくらいに良くなった。
 
壁には、大漁旗がたなびいていたり、大きな絵画が飾られていたり
天井にはシャンデリアがあったりする。
 
一流のレストランの様な内装 を施しているお店が沢山ある。
特に、都心部の回転寿司屋さんに多い。
郊外店や商店街では無く、俗に言う一等地に進出しているお店に多い。
 
たとえば、道頓堀であったり、六本木であったりする。
 
当然の事ながら、雑居ビルの一角での商いになり
その為、エレベータで回転寿司を食べに行く事になるが
エレベータで回転寿司を食べに行くなどという経験はそうそう多くない。
 
近未来には、44階位の最上階の展望回転寿司屋 さんなんかも出来るかも知れない。
  
そうなると、やはり永年の希望である客席が廻る回転寿司コンベアー を設置したい。
 
こんなコンベアーを設置すると、すぐに報道陣が押し掛けて来て話題になりそうであるが、
30年くらい前に客席が廻るレストラン(小生の知っているレストランは床ごと廻っていた) は、
何軒か見掛けた事があった。
 
廻るレストランが出来た頃は、珍しさから人気があった様であるが今も廻っているのだろうか。
何とかと言う湖の畔のタワービルのてっぺんにも廻るレストランがあったはずである。
  
現在ある多くの高層階のレストランでは、
火災防止の為、調理に電気の熱を利用している場合が多い。
  
しかし、電気ではどうしても火力が弱いため メニューを変更したり、
無理矢理、1階の厨房で調理して高速エレベータで運んでいるレストランもあるらしい。
 
その点では、回転寿司屋さんは余り熱源を必要としないので、高層階への進出は容易かも知れない。
 
回転寿司屋さんのメニューで加熱する食品は茶碗蒸し ぐらいである。
 
茶碗蒸しは電気で蒸せるし、お湯を沸かすのも電気である。
もちろん、ご飯を焚くのも電気で充分である。
 
煙の出る調理が無いので回転寿司屋さんの厨房は以外に綺麗なのもうなずける。
  
夜景を見ながら、最上階で彼女と寿司を摘みながら、お茶をすする。
なんとロマンチックな光景であろう。
  
これからの高齢化時代 にもってこいである。
  
貴殿も高層ビルの最上階の展望回転寿司レストランのオーナーに成ってみませんか。
  
私にお電話をください。
お手伝いします。(させてください。) 一生涯貴方に ついていきます。
 


 KKK 



回転寿司屋さんの商売仇 は、たぶん、立ち寿司屋さんと誤解している方が沢山いる。
 
しかし、実際はハンバーガー屋 さんであったり、ファミレス である。
 
家族で食事をする場合は、どの種類のお店に入るかで
我々の食事の内容が決定してしまうのである。
   
ファミレスでわざわざ寿司は注文しない、勿論、ハンバーガー屋さんでも注文しない。
 
ファミレスやハンバーガー屋さんのお客を回転寿司屋さんが奪っているのである。
また、逆の場合もあり、犬猿の仲 なのである。
  
日本人は、一日三度の食事が一般的であり、
1億人なら、1日3億回の食事がマックスであり、限られた需要である。
 
立ち寿司屋さんでの食事は、3億回以外の需要エリアであり商売仇ではない。
  
では、回転寿司屋さん同士では、どんな具合だろう。
 
回転寿司を食べに行く事になれば回転寿司屋さんを探しながら車を走らせている方は希で
目的のお店は初めから決まっているものである。
 
洋服や、靴等の様にいろいろなお店をウィンドショッピングするような性質の物では無い。
 
気軽に回転寿司屋さんに入っても
味が同じであると言う概念 が当てはめられないからである。
 
なぜならば、『回転寿司を食べに行く 』 とは言わずに
くるくる寿司(お店の名前)へ行く 』 などの様に、固有名詞を用いるからである。
 
つまり、『**回転寿司店 』には行かないし、『廻転寿司▲▽店 』 にも行かないのである。
 
毎日、回転寿司を食べている筈もなく月に1度か2度の回転寿司屋めぐりでは、
とうてい、近所の回転寿司屋さんを全て食べて廻る事は出来ない。
 
むしろ、開店する回転寿司屋さんの方が多く、未開発店となって残ってしまう。
 
自分の好みの味が見つからなくて食べ歩く浮動票的なお客も多く、
常連客と、さすらいの食いしん坊が入り乱れて回転寿司屋さんに押し掛ける。
  
この様な状況が今の第4次回転寿司ブーム の担い手になっている。
いつまで続くのかは判らないが、回転寿司業界は日々拡大し続けている。
  
この辺で 回転寿司協同組合(略称 回寿協, 英語で KKK ) でも設立したいものですね。

 

誰か協力してもらえないですか?
  
                                      
  

 1皿1500円 

 
 
出張先まで高速道路を利用した。
 
名神高速道路は嘗て、有料駐車場かと思わせる様な渋滞で有ったが
この日は異常に車が少なく、ほとんど渋滞も無く目的地まで到着した。
 
これは、国内の景気が落ち込み輸送や移動が極端に減少した為であろう。

出張先の回転寿司屋さんで食事をしたが、料金は御一人様 3、000円 近くも支払った。
流石に、『うまい 』 の一言で値段も味も回転寿司屋の異端児 としか思えない。

回転寿司屋さんも、多極化 が始まりそれぞれの違った顧客を捕まえているようである。

分類としては、いささか独断と偏見ではあるが、
高級志向型回転寿司店、大型ファミレスタイプ回転寿司店、商店街同化型回転寿司店に分類出来る。

まず、高級志向型回転寿司店 は、ほぼ立ち寿司屋さんと変わり無いネタをそろえており、
立ち寿司の常連客が話の種にと、選ぶのはこの様なお店が多い。
立ち寿司通 が、回転寿司通 に成るための登竜門である

接待等の利用にも違和感が無く、オーナーに芸能関係の方 が多いのも特徴の一つである。
  
立ち寿司屋さんを思わせるお店の造りで、看板には回転寿司 と書いてあるが
価格は並の回転寿司屋さんの倍掛け以上 を覚悟しなければならないかな。

大型ファミレスタイプ回転寿司店 は、チェーン店が多く、郊外で大型駐車場を備え
ネタの良さと安さ で、待ち時間を必要 とする場合が多い。

ファミリーユースが主の為、寿司以外にプリン 等が廻ってるのが特徴である。
 
景気が落ち込んでいる今の日本。
資本投資の対象としてゴルフの会員権が高騰した時もあったが、バブルの崩壊で終わりを告げた。

マンションブームが終わりファッションホテル、カラオケ、海外旅行、コンビニ、ピザ、モツ鍋、
イタメシ、エスニック、映画、ストリートゲーム、ポケモン、パソコン、携帯電話、等々と
話題が続いて来たが、今はこの手のお店がクローズアップされている。

TVを見ていると、1日1度は回転寿司 と言う単語が聞かれるくらいに話題になっているのも、
大型チェーン店の進出に寄るところが大きい。

商店街同化型回転寿司店 は、商店街や駅地下等に陣取り、高級ネタと言うよりは
庶民的に食事ができサラリーマンや主婦、子供までを対象としている。
   
特徴としては、回転寿司屋さんを生業 としている場合が多く立ち寿司転換組 もこのタイプである。

ブームの火付け役として何度か登場し、不死鳥のように甦るのである。
週刊誌やまんが本まで揃えてあり、散髪屋さんを思わせ、うどん屋さんの様に溶け込んでしまった。

土、日曜日には子供たちだけで母親から1,000円ずつ貰って昼食に立ち寄る事もあり
子供向けに、50円の寿司があったりし現代の駄菓子屋さんになってしまった。
 
ところで、我が輩の知る限りでは、
国内の回転寿司 で一番安い寿司が、1円で、一番高いのが1,500円である。
  
 


 回転宇宙食 

 
 
小生はある時期フリーターとして某スーパーの電気製品売り場で働いていた経験が有る。
  
その時に体験した事とよく似た話を、耳にしたので紹介しておこう。
  
接客業、サービス業などを営んでいらっしゃる方は、どなたも同じ経験をなさっていると思う。
 
それは、『回転寿司屋に来店していただいたお客の顔を覚えようとしている訳ではないが、
2度目にお越しになった時には、何日くらい前にお越しになったか思い出す事が出来る。』
と店長が話していた事である。
 
そう頻繁にお越しにならないお客でも、前回はどの席に座っていたかぐらいの事は覚えているそうである。
  
アイドル期間中や日曜、土曜日以外の特定の曜日、
あるいは特定の決まった時間にお越しになるお客も覚えやすいそうである。
  
まして、一言、二言、言葉を交わしたお客は、強く印象に残るらしい。
 
反対に客側の末将(それがし)なぞも、何回か回転寿司屋さんに通っていると職人の顔を覚えてしまう。
  
ただ、コンベアの中の職人の顔と、町中でばったりあった時の顔は違うのであろうか、
挨拶されると『 はて?誰だったかな?』 と思い出すのに時間が掛かる。
 
職人さんと親しくなる事で、いろいろメリット (デメリット)が生じてくる。
  
例えば、縁側 が好きである と先に伝えておけば、優先的に縁側 が目の前に出される。
  
多少、押し売り的な所もあるが、末将には断るだけの勇気が無いので頂く事にしている。  
又、活きの良いネタが入っていると 『 〜を食べてみるかい? 』と、無理矢理に食べさせられる。
  
美味しい 』 の一言では、大丈夫であるが、『これは絶品だ!』などと賛美すると、二皿目も売りつけられる。
 
先日は、末将が来るのを予測していたのか、市場に良い『 ほや 』が有ったとかで、
いきなり、ほやの酢の物 を売り付けられてしまった。
もちろん、メニューには無いのである。
  
当地では、ほや は滅多に売っていない珍味であるが、
たぶん以前に寿司を食いながら話した事を店長が覚えていたのであろう。
  
その内、この店長の事だから、行者ニンニク が出てくるかも知れないぞ。
  
そうそう、以前には、かたくりの花 のお浸し も出てきた。
 
チェーン経営の回転寿司屋さんでは、仕事の時間が長いのでタクシーの運転手さんなどの様に
お休みの日が多い ので釣りや、山歩きなどの趣味をお持ちの方も多い。
  
この店の店長は、料理の研究が好きであちこちに出向いて寿司ネタの開発 に熱心である。
  
時々、訳の分からない創作寿司 キムタクのまね寿司 (キムチとたくわんとマヨネーズがネタ)が出てきた事もあった。
 
 辛いキムチの味がマヨネーズに包まれて、ちぃっとも辛くないが後から効いてきます。
 
その他、おでん寿司、すき焼き寿司、変わったところでは、NASAの宇宙食寿司 と何でも有りの店長である。
 
試食係りにさせられるのは、ひとえに末将が寿司文化に対する造詣(ぞうけい)が深いからであろう。