昔の夢 4


 5CC 

 
 
持ち帰り寿司の桶に魚の形をした醤油入れ がはいっている。
(お店によっては、自分で適当に持ち帰る。)
あれを見るたびに、どうやって醤油を詰めたのかと考える。
  
一個(匹?)ずつ注射器で入れているのか、そんな訳 ないだろう。
  
スーパーで売っている一人前のにぎり寿司にも一個付いているが、
一個では寿司を食うのには少ない。
世間の方々は、いかがな物であろうか。

小生の弁当にもこの魚 が、時々 同居しているが
愚妻が小皿に醤油を取って、それを吸い取っているのか
あるいは、寿司の余りを利用しているのであろう。

そして、無理矢理、狭いおかず入れの片隅に押し込む。

キャップを回すと手が汚れる ので、ハンカチが必要になる。
小さすぎて余り便利とは思えない。

持ち帰り寿司(金額にもよるが)には、少なくとも 5個 は入っている。

愚息は、市販の醤油より美味しいと言って、幾つも使って寿司を食うが
小生は、面倒なので市販の醤油を使う。

水を入れて計ってみると、5CC位入る。
大きいタイプに ブタ型 と言うのがある。
こちらの方は 8CC である。
さらに大きいのは ビン型で13CC
 
角型の20、35、50CCとなる。
ウナギのタレが入っている 例のやつである。

なんで、当家に こんな物がたくさんあるのか、これもまた不思議。

最近は、テイクアウトの食品(マクドナルド、ケンタッキィー、Mrドーナッツ等)を
沢山 買うので、おしぼり、ナプキン、割り箸 など貧乏性の愚妻があちこちにため込んでいる。
(持ち帰り寿司に付いてきた笹の葉っぱ までもが、小生の弁当の為に保存して有った。)

気配り、親切、サービスで付いてくるのだろうが、
できれば、回転寿司の持ち帰りにテーパック を 付けて欲しい。

ホテル、とか旅館に良く置いてある あれ である。
出来るだけ、アルミでパック してあるもの をお願いします。

当家では、年頃の娘と愚妻が結託(けったく)しやせる(?)お茶(品名不詳)を飲んでいるので、
なかなか、美味しいお茶にありつけないのが実状である。

最近は緑茶以外のお茶を食事の時に飲んでおられる家庭も多いのではないかと思うが、
貴方のご家庭はいかがですか。
                                      
 


 森の石松 

 
 
小生の記憶違いかハッキリしないが JAL(日本航空)の国際便ファーストクラスで
機内食に折り寿司 が出されていた様な記憶がある。
さらに確かざるそば も付いていた様な気がする。

その寿司が海苔巻きだったか、にぎり寿司 だったかは、定かでない。
(当時は、いろいろなサービスがあり金色のJALのロゴ入りの扇子も頂いた覚えがある。)

そんな混沌とした日々を送っていると体に悪い。
ご存じの方は教えてもらいたい。

寿司食いねえ! お茶飲みねえ!』 と言う有名な行(くだり)がある。
浪曲 広沢虎造の”石松代参 ”で有名である。

森の石松が大井川の渡しで旅人から清水一家の噂話(本当は自分の評判が聞きたかった)を
聞こうとして言う行である。

清水一家は、組長の次郎長、以下、大政、小政、大瀬半五郎、法印大五郎、森の石松と続く。
なかなか自分の名前が出てこないので、石松は『 寿司食いねえ! お茶飲みねえ!』 と
 
人間回転寿司の如く寿司を勧める。
 
では、その場で出された寿司は、海苔巻き だったか、にぎり寿司 か、はたまた稲荷寿司 かが、
また気になり始めた。

講談を聞き直せば、何か手がかりがあるかと思うが
機会があれば調査して報告したい。

今日はあり合わせの蘊蓄(うんちく)で我慢していただきたい。

記憶が確かなら、次郎長の刀を金比羅さんに奉納に行った帰りに大井川に差し掛かった時の話であるはず。
大井川を越えれば精進落とし をしても良いはずが
やくざな石松の性格からして一足早く、川越えする前に、
勝手に精進落し をしてしまったのである。

やくざが海苔巻き とか稲荷 を食っていたのでは、カッコウ が悪い。
この場面では、どうしても にぎり寿司(わさび多め)である。
にぎり寿司 でも、玉子 とか軍艦巻き は似合わない。
 
石松の鼻水をすすりながら、豪快に寿司を食う様子が出てこない。

この場面では、にぎり寿司 を食ってもらわないと
次郎長鮨 鮨処大政小政寿司半五郎寿司大五郎寿司石松寿司 等の
名前の寿司屋さんが困るから

にぎり寿司 に決定しました。
 
もちろん、お茶は、すらっと茶 ではいけない。(いくら勝新の奥さんがコマーシャルしていてもダメ。)
緑茶、それも、粉茶がいい。
 


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上記の件で、投書を頂きましたので掲載致します。
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  こんにちわ!ガリの相方のミルと申します。ステキなESSAYよまさせて頂いている途中です。
そこにJALで出たお寿司の事があったので、ちょっと知っている事を書きます。
7年前BIG APPLE BIG BENと称してNY線とLONDON線のサービスに力をいれていました。
SNACKには確かににぎり寿司を出していました。
シャリとネタは別々の搭載となっており一つづつネタを載せていたんです!
はは!又ドライアイスで凍ってしまったりして、台所担当の者は随分気を使ったものです。
又、さらに前、着物サービスなるものがあった時代は
板さんがFIRST CLASSに乗り込み、目の前で握ってくれたんです。
これはかなり好評で皆さん列をなしてお召し上がりになったそうです。
PILOT達まで降りてきて食べる始末。
もちろんCREWも・・・・・。実際コストがかかりすぎ、又その他の要因があり、廃止されました。
まあ、バブリーなSERVICEでしたよね。今もやはり、お寿司は載っております。
ごはんは外地からの場合でも日本のコシヒカリ、ササニシキを使っています。
ただ炊き方に問題があるのか、パサパサしたものも見うけられます。
是非板さん再び!!と祈る私でしたあ!!
 
                        ミルさんのH.P
 
 


 海老のシッポ 

 
  
回転寿司 と 海老 の話

例えばウニの皿 を取りウニを食べると、皿だけが残る。
タコの皿 を取りタコを食べると、皿だけが残る。

何を当たり前の事を書いているのかと、お叱りを受けるかも知れないが、
ここからが、今日の本題

食堂で、天丼 を食べた時、えびのしっぽ を食べてしまって、ホール係りのお姉さんに
『 玉子丼でしたか?』 と問われてからは、しっぽ は食べないようにしている。


しかし、あのしっぽ は小生にとって結構、好物の部類に入る。
仕方がないので、一匹分のしっぽ は残す。

そんな小生でも海老の寿司を食べる時には、しっぽ までは食べない。
回転寿司で唯一残飯 が残るのが、海老のしっぽ である。

あのしっぽ が有るためにどれだけの人が苦労しているかを考えたことが有るだろうか。

そこで、考えた。

海老は輸入品(東南アジア)が多いが、しっぽ付き は日本向けだけ。
国際的には、海老にしっぽ は無い のが常識である。

現に、スーパーで売られている冷凍海老(天ぷら用は除く)には、しっぽ は無い
しっぽ付き は、天ぷらと寿司に限定される。
 
万一、このしっぽ に損傷があれば、その時点で、ゴミ になってしまう。

寿司の場合はまだ良い。これが、料理屋さんの海老の姿焼き になると、
海老のひげ までもが、重要要素となってくる。

ひげの折れた伊勢海老は、串の無い焼き鳥の様な物である。

貴方は、しっぽ の捕れた海老が皿に乗って廻ってきたら食べますか。
それほど重要なしっぽ であるにも関わらず、食べ残しているのである。
 
しっぽ が無い方が食べ易いに決まっている。
 
出荷時はしっぽ が取れない様に取り扱いに気を配って箱詰。
又、皿を洗う際も残されたしっぽ は、充分手間を掛けさせてくれる。

では、何故に海老にしっぽ が付いているのか。

文献に寄ると明治の始めに、豪華に見せる為に考えられたらしい。
ただそれだけの事であるが、無いとなれば、汚らしくも思えてくる。

今でも、たち寿司では女性や子供が食べ易く、しっぽ を取って握っている寿司屋さんもある。
だが、回転寿司ではあり得ない。

合理主義の回転寿司業界。 いつになったらしっぽ が無くせるのだろう。

貴方は、しっぽ のない海老、半額 なら食べますか。
                  
 


 湯上がり美人 

 
 
最近は銭湯へ行く機会がめっきり減った。

一時、家族風呂 なる物が流行した時期もあったが、近頃では郊外にアクアリゾート と称する
大衆浴場もどきが、あちこちに建設されている。

だが町中の大衆浴場も捨てがたい魅力がある。
今日は回転寿司と大衆浴場 の関係について述べてみよう。

大衆浴場は、関西型関東型 に分類される。

これはどのように分けるかと言えば、浴槽の 海岸線の長さ で分類する。
関東型は、浴槽は浴室に隅に寄せられて設計されているが、
関西型は浴槽の海岸線は浴室内に大きく張り出している。

関東では、浴槽のお湯を汲んで体を洗ったりしては、マナー違反である。

しかし、関西では、浴槽の横に陣取り、浴槽内のお湯を使うことは、
決してマナーにはずれた事ではないのである。

この伝統が有るのかどうかは、はっきりしないが、回転寿司のお店は、
 
関東以北では回転寿司のベルトが1本のループ型(小判型)が多く、
 
関西以西では、キッチンから何本か出ているE型(櫛の歯型)が多い。
  
それぞれ特徴が有るがE型の場合はネタがたくさん廻っているので、
自由に寿司を取って食べるのに便利であり
ループ型は、注文のしやすさが受けている。

回転寿司と風呂屋の似ている所はと探すと、もう一つあった。

カウンタに設置されている、お茶の出る装置。
 
蛇口とは言わず、業界用語でグラスフィーラ と言うらしい。
  
風呂屋さんでも、最近は蛇口が一つの所もあるので、
お客が裸でいるか居ないかの違いが有るにしても、まあまあ似たような光景である。
  
時に、お持ち帰りの桶を小脇に抱えて店を出る女の人とすれちがったりすると、
まさに寿司(湯)上がり美人 に見えてくる。
  
最後に違いを書き添えておこう。
 
回転寿司は混浴(混食) です。
 
今日は一寸無理矢理の所も有ったが、おもしろい話が書けたと自画自賛。
   
 


 タイタニック 

 
 
映画タイタニック を見て思い出す事がある。
  
それは小生の友人が豪華客船(?)トロピカルレインボー号 に乗船していた頃のことである。
 
この船は当時有名だったサクラ丸にも退けを取らない客船であり、
甲板にあるプールはサクラ丸 のそれより大きいと言われていた。

小生などは、彼の職場をうらやましく思ったものである。

ところが、この豪華客船には、乗船してみないと判らない秘められた実話 があった。

長い航海でも1週間も港に寄港せずに航海することは滅多になく
航海に必要な水や食料は寄港地毎に積み込み食卓は常にエスニック料理 でいっぱいにされる。
 
船旅の醍醐味にはキャビンで取る食事も楽しみの一つである。

しかし、豪華客船のキャプテンといえども乗務員でありキャビンでの食事は余り縁のない食事である。

乗務員の食事は、社員食堂 である。

秘密とは船底に 大量の冷凍マグロ が長い航海中の乗務員の食料として船積みされていた事である。
冷凍マグロは短冊状のものが棚にぎっしり積まれてあり、
短冊にすることで不要な部分が削ぎ取られ限られた冷蔵庫の有効利用に協力していた。
 
食堂では必ず船底の冷凍マグロが食卓に出演していたのである。

マグロと同時に常に出演していたお仲間に、焼きのり 君がいた。
焼きのり君も日持ちがよく、場所を取らない優良乗組員であり
マグロに焼きのりとくれば、連想できるのは鉄火丼 である。
    
毎日冷凍マグロの鉄火丼を食べ続ける羽目となったのは面倒がり屋 の彼の性格からであろう。

最近の回転寿司では、活マグロ の食べられる店も多々あるので、そんな彼を連れて出掛けた。
彼にとって活マグロに出会った初体験であったらしく改めてマグロの味を発見したらしい。
 
是非、諸君も冷凍ネタばかりでなく、たまには、少し値段は高い が(一昔前では想像できない位に安い)
活ネタの寿司も摘んで頂きたい。
海老(オドリ)、タコ、ハマチ、鯛 等 いろいろ店では、趣向をこらしている。 
 
北海道で採れた毛蟹を、その日のうちに九州のコンベアの上に乗せる事を可能にした
回転寿司のオーナーには拍手を送る。
  
ご馳走 』 の語源は、あちこち走り廻って集めた食材 と言う意味らしいが、
我々は、ただ回転寿司のドアーを開けただけで、『 ご馳走 』がコンベアの上で廻っている。
  
これが回転寿司 である。
        
 


 乾きネタ返し 


  
出張先で久しぶりに旧友(岡峰氏)に会うのも楽しいものである。
 
ホームページの話になると、ついつい時間の経つのを忘れて会話に花が咲く。
 
で、寿司でも摘んでゆっくりと言うことになる。
 
小生には初めての店なので、珍しいネタもあるだろうと期待する。
 
彼は早速、好物のマグロに手を伸ばし『ここのトロは美味しいですよ 』 と自慢げに のたまわった。
 
しかし、小生は寿司の達人 である。寿司のうまいまずいは見ただけで判断が付くのである。
  
この店のマグロは110円 である。どうせ、食べるのなら『 200円の中トロ が良い。』と
 
彼に中トロを提案すると、彼はすかさず、コンベアの上の中トロに手をやった。
 
おっと!待った。悪いが、その寿司は一寸乾いているよ。
 
しばらくすると 又、中トロが流れてくる。
 
どれも同じくらいの乾き具合である。
 
板さんは遙か向こうで、お馴染みさんのお抱え職人となっている。
 
小生は大きな声で、『サビの多めの中トロ2枚 』 と注文をした。
 
中トロたくさん廻ってるよ。廻っているのから食べてよ。 と言う様な哀願する様な声で(どんな声だろう?)
 
中トロ2丁!』と店内にこだました。
 
その直後に不思議な現象が起きた。
 
今まで静かだった店内のあちこちから 中トロのサビ多め の注文が殺到する。
 
客は皆、乾いた中トロをけん制していたのである。
 
なんだか、親近感が店内に湧いてきた。その後もあちこちから注文が入るが
 
どの注文にもサビ多め(抜き)の行(くだり) が頭についている。
 
中にはひねくれ者が
 
『 サビ抜きのウニをお願いします ???』 とか注文する。 
 
しっ!しまった。 老山人の極意 が見破られたのである。
 
廻ってるネタをけん制して、新しい寿司を食う術、名付けて 乾きネタ返しの術
 
旧友はこの技に唖然とするが、さすが老山人先生とお誉めのお言葉 を頂き、
小生、鼻高々の一日であった。