昔の夢 25



 寿司ピザ 
 
 
 

回転寿司屋さんの厨房の片隅で黙々と働く茶髪のお兄ちゃんがいた。
片耳には、ピアスを着けている。

小父さんになると、この手の若者はどうも苦手である。

そんな隅っこで何をしているんだろうと覗き込むとクレープを作っているではないか。
フルーツやチョコレートと寿司屋には馴染みのない材料をテーブルに並らべている。
厨房の中でもここだけは、クレープ製造コーナーとなっていた。

試しにクレープ(200円)を食べてみようと、お店のじゃまにならないようにベルトの最下流に座った。

しばらく待っていたが、いっこうに拙僧の席の前までクレープは たどり着かない。

彼が、一所懸命に作ってもクレープが途中で取られてしまい無くなってしまう。

不思議に思い見回すと、最上流で持ち帰りのパックにクレープをかたっぱしから詰め込んでいる客がいた。
それも、ご丁寧に持ち帰りパック1箱に1つずつ詰めている。

実は、この店は地元でクレープの美味しい店として有名な変な回転寿司屋さんなのだ。
クレープの美味しさで寿司よりクレープが売れているようだ?
 
ようやくクレープを食べられたが、噂どおりに旨い。
むろん拙僧も、ただのお茶なんかは飲んではいない。コーラを注文した。

だが、口の中が甘、甘になって寿司を食べる事が出来なくなった。
試しに、サバの寿司を食ってみたが、すあま(酢甘?) の味がした??

仕方がないので、クリームあんみつを食べる。
次がたこ焼き、ポテトと食べると、もうお腹が一杯になってしまった。

チョコレートケーキ、メロン、プリン、プリンアラモード、
ポテト、フライドチキン、エビグラタン、唐揚げ、ハンバーグ
アイスクリーム(バニラ、チョコ、ストロベリー)、サラダ、なす田楽、ヨーグルト、等々

これらは、回転寿司業界では俗に言うサイドアイテムと言う商品であるが、メインアイテムになっている。
これでは回転寿司と言うより、回転フルーツパーラーてとこかな?
軽い軽食なら、これで充分である。

実は、茶髪でピアスの彼は店長さんである。

親父さんが寿司職人で、本店と称するお店があり、
2軒目として回転寿司を始めた為、彼が店を任されている。

彼はクレープ屋さんで働いていた経験を生かして、
親父さんのいない間クレープ屋さんに変えてしまったのである。

だが、さすがに親父さんの出勤してくる夕方の6時近くになると
ベルトの上のクレープは姿を消して、普通の回転寿司屋さんになってしまう。

さっきまで、クレープが乗って廻っていた200円皿は、カツオが乗って廻っている。

他人が口を出す事では無いが、どこにでもある内輪モメがあるみたい?
和食一筋の頑固親父もクレープが廻っているのを知っているのに、
知らない振りをしている葛藤の父親を演じている。

これぞ知られざる、クレープ回転寿司の裏話である。(やばいかな?)

そこで、拙僧のご提案

ハイブリッドな感覚で廻るクレープ寿司 とか 寿司ピザ屋にしてしまえばはどうかな?

  寿司ピザ

きっと、鈴茂器工(株)さんが協力してくれるでしょう。

親子の会話が復活する事を期待しよう??
 
 


 誇りの逸品 

 
 
回転寿司では、ネタの乾燥がよく問題にされる。

乾燥してしまった寿司は残念ながら廃棄されてしまうのだ。

ネタの乾燥は、空気中の湿度が低い時ほど激しく、湿度の高い時は乾燥には時間がかかる。
冬季の太平洋側では特に湿度が低く乾燥しやすいので、
加湿器を用いて店内の湿度調整を行っている店も多い。

寿司の乾きを押さえる為に登場するのが、寿司キャップである。
例の生卵の容器のような材質で出来ているカバーである。

 寿司キャップ

『 うちの店は寿司キャップは絶対に使わない。 』 と粋がる職人がいたり、
『 回転寿司では、常識です。 』 と言われるオーナーがいたりで、個性的な goods なのだ。

客にしてみれば、『 どうもあれは好きになれない。 』 と言われる方が多い。
拙僧も入ったお店で、いきなり寿司キャップが登場していたりすると失敗したと思ってしまう。

考えようによっては、衛生的とか、少しでも美味しさが保たれていると思えば、
それほど気にしなくても良いのかも?

ところが、最近の寿司キャップを使っている回転寿司屋さんでは異変が起こっている。

キャップを使っている回転寿司屋さんの極々一部であるが、
超ハイテクの技術を駆使したコンベアーが設置してある。

ミレニアムの話題の回転寿司コンベアー(商品名 オアシス) を紹介しよう。

このコンベアーは静電気を利用したコンベアーで、ベルトには静電気が流れており
寿司を乗せると、寿司は2万ボルトで帯電されるようになっている。

帯電された寿司は、表面の水分を静電気でくっつけているため
ベルトの上に長時間放置しても乾燥しないのである。

さらに電圧を上げていくと空気中の水蒸気さえ吸着してしまい、水っぽくなってしまう。
そのため、常に湿度を測定して自動的に電圧を微妙に変えている。

これが、2000年の寿司の乾かないコンベアーである。

だが、乾かない寿司にどうして寿司キャップを被せてあるのか不思議に思われるだろう。

それが、このコンベアーの唯一のウイークポイントである。

ご存じであろうが、空気清浄機も静電気を利用している。
帯電した電極にチリやホコリ等を吸着させて、空気を綺麗にするのである。

つまり、寿司を帯電させると水蒸気も吸着させるが、チリやホコリ等も吸着してしまう。

その為、10分間もベルトの上を廻っていると寿司がホコリまみれになってしまうのである。
そのため、ホコリが付かないように寿司キャップを被せてあるのだ。

お判かりかな?

では、どのようにしたら、話題の回転寿司コンベアー(商品名 オアシス)と
普通のコンベアーを見分けるか教えておこう。

オアシスの場合は、寿司を取る時に軽い電気ショックを感じる。(人体には影響はありません)
このショックのあるコンベアーが、話題の回転寿司コンベアー(商品名 オアシス)だ。

今度、寿司キャップを被せてあるお店に入った時には確認して下さい。
 
 


 壺と瓶 

 
 
長生きで有名な寿村の鶴ちゃんと亀ちゃんは友達でした。

ある日のこと、鶴ちゃんと亀ちゃんはどちらが先に
山のてっぺんにある回転寿司屋さんに着けるか、競争する事にしました。

勿論、負けた者が寿司の料金を払う と言う約束です。

よーいどん!

鶴ちゃんは、自慢の翼を羽ばたいて一気に峠を飛び越えて山の中腹の松の木まで来ました。

その頃、ようやく亀ちゃんは山の麓にたどり着いた頃でした。
鶴ちゃんはそれを見て、『 2時間は待たされる 』 と思い、一眠りして待つ事にしました。

……………

目をさますと、亀ちゃんは もう少しで回転寿司屋さんに到着しそうでした。

あわてた鶴ちゃんは、急いで飛び立ち回転寿司屋さんに直行しました。

でも、亀ちゃんの方が一瞬早く回転寿司屋さんにたどり着き、
亀ちゃんの勝ち

亀ちゃん:  『 約束どおり、ご馳走になりま〜す!』

鶴ちゃん:  『 残念だが、仕方がない。どうぞ沢山召し上がってください。』

亀ちゃんと鶴ちゃんは、初めての回転寿司に大喜びでした。

亀ちゃんは皿の上の寿司を上手に食べる事が出来ましたが、
鶴ちゃんは くちばしが長すぎて、寿司を上手に食べる事が出来なかったのでした。

手巻き寿司なら食べられると思い、納豆巻き を注文しました。
でも、これもくちばしが長すぎて食べる事が出来ません。

横の席の亀ちゃんは美味しそうに寿司を食べていました。

それを見て余計にお腹が空いてきた鶴ちゃんは、職人にお願いをしました。

くちばしでも食べられるように壺に寿司を入れてベルトに乗せて下さい!

壺に入った寿司を握ってもらい、鶴ちゃんはようやく寿司を食べる事が出来ました。

だが、今度は亀ちゃんが壺の寿司 を食べられなくなりました。

困ってしまった亀ちゃんは 職人に言いました。

亀ちゃん:  『 は嫌いだ! (カメ)にしてくれ!』

チャン、チャン??
 
 


 アダルト 

 
 
昔々、あるところにお爺さんと、お婆さんが住んでいた。

お爺さんはベルトの中で寿司を握り、お婆さんは厨房で皿を洗って回転寿司屋さんを商っていた。

ある日の事、お腹をぺこぺこに減らした 浦島太郎 乙姫さん がやってきた。

『 いらっしゃい!今、寿司を10皿食べると玉手箱 がもらえるよ。』

2人は、カウンターに座ると同時に鯛やヒラメを食べ始め、
あっと言う間に10皿を食べてしまった。

そこで、お爺さんは乙姫さんに約束の 玉手箱 を渡したのである。

乙姫:  『 玉手箱は いらないわ!』

爺:  『 だけど、玉手箱は浦島太郎の必須アイテムですよ。』

浦島太郎:  『 お爺さんになるのが判っている玉手箱なんて いらないよ!』

爺:  『 これは、玉手箱の形をした ティッシュペーパーケースなんです。』

乙姫:  『 それじゃ、持って帰って使わせて貰うわ。』

……………

それから、約1ケ月後のある真夜中の出来事であった。

**(チョメチョメと読む) を終えた2人は、幸せの頂点にいた。

おもむろに、浦島太郎は枕元のティッシュペーパーに手を伸ばした。

ムッ?

通常、ティッシュペーパーは取り易いように紙が出ているのだが出ていない。
『 おかしいな?』 と思い持ち上げると軽い

あわてた浦島太郎はティッシュペーパーのケースの蓋を取った

げっつ!ティッシュが空だ!

その瞬間、浦島太郎の髪の毛は真っ白になり お爺さんになってしまいました。

乙姫:  『 やっぱり、玉手箱だったか、、、、』


貴殿も、寝室の玉手箱には ご注意を、、、?

 


 ネールアート 

 
 
小学生が 『 鉛筆を削れなくなった 』 と言われるようになって、幾年が過ぎたであろう。

拙僧も、子供の頃に 乳母 に削ってもらった鉛筆を見て、
いつかは、このくらい上手に削れるようになりたいと憧れたものだ。

近所に鉛筆削り機を持っている友達がいたが、
拙僧は、子供の頃から鉛筆は手で削るものだと こだわりを持っていた。

それが、我が子の時代には既に手廻し削り機の時代は終わって電動鉛筆削り機の時代になってしまった。
そんな訳で当家には、電動鉛筆削り機が3台もある。

久々に鉛筆をカッターで削ってみたが、やはり乳母のようにはうまくは削れない。
原因はカッターの切れ味にあった。

オルファの刃を新しくして再度挑戦すると、そこそこの出来映えである。
綺麗な出来上がりに満足し、この鉛筆は使わないで仕舞っておく事にした。

刃物は切れ味が命である。  

寿司職人が使っている包丁はさぞかし 立派な包丁 であろうと、
そんな話題を板さんに持ちかけると、いきなり 包丁の研ぎ を頼まれてしまった。

『 高価な包丁の研ぎを任される 』 と内心ビビッていたが、渡された包丁は単なる 安物の西洋包丁

この店の板さんは、自前の包丁を持っていない。
職場(回転寿司屋)では、 会社の包丁 を使うのが この店のきまり。

勿論、誰もが使っても良い包丁である。

自前の包丁では他人に使われてイヤな思いをしたり、厨房内が包丁だらけになってしまうので、
会社が用意した包丁を決められた場所に置いて使う方が合理的なのだ。

だが、会社の包丁となると誰も手入れをしないのは、どこの職場も同じであろう。

ついでに、包丁を研いだ後は 寿司を握れなくなるんだ と教えられた。

包丁を研いだ事のある方なら判るであろうが、 爪の先が真っ黒 になってしまう。
そんな手(指先)では、とても店先で寿司を握ることは出来ない。

そこで、お手軽な西洋包丁を使うようになってしまう。

特に最近の文化包丁は太い電線や厚い杉板までもがサクサクと切れる。
(まな板が切れるのではないかと要らぬ心配までしたくなる?)

爪の先が真っ黒 になった時に寿司を握るためには、
ネールアート をすると良い と冗談のうまい板さんだ。 笑)

巷では大工さんのノコギリの刃が替え刃になっていたり、散髪屋さんのカミソリが替え刃になっている。

替え刃の出来る出刃包丁とか、替え刃の出来る刺身包丁(柳葉)とかの替え刃の処理は
注射針の処理のように厳重にしなければいけないだろうが。

2000年には、包丁も替え刃の出来る包丁が発売されているかも?
 
 


 小市民 

 
 
そろそろボーナスの時期だ。他社の同輩から聞くボーナスの話には明るいものはない。

まして役職手当と言っても、平社員の十数時間の残業で追いつく金額である。

役職手当以上に残業手当を稼いだ平社員の時代もあったが、
中年おじさんでは、残業で日銭を稼ぐのも難しい。

我が身の給料袋と無能な上司のぶ厚い給料袋(最近は銀行振込だが)を見比べると腹が立ち、
こんな会社はさっさと退職して、回転寿司屋でも開業しようかと思うのは拙僧だけなのであろうか?

回転寿司屋さんは今が稼ぎ時だ。

しかし大金が残っても年中無休の客商売はちょっと人生が寂しいな〜。
しかも、『 のんびりした年末、年始を過ごしたい 』 と考えているようでは起業家にはなれない。

小市民的な生活が身についてしまい少ないが 『 給料が出た 』 とか 『 ボーナスが出た 』 とか云っちゃ、
回転寿司やファミレスに出掛けて家族で食事をするのが唯一の楽しみになってしまった。

せいぜいリストラの対象にされないように、目立たずに会社勤めをしよう。 汗)

フリータやバイトの殆どは、回転寿司業界を就職の対象とはしないで通過してゆくのみ。
更に悪いことに、大半の者が回転寿司を嫌い になって去ってゆくのだ。

だが、不思議な事に、高い時給を求めて渡り歩くフリータは、
バイト先が飲食業界とか、衣料品業界とか、建築関係とかに固定されていく。

だから前のバイト先がレストランや蕎麦屋でバイトをしていたと云う者も多い。
徐々に飲食業界が好きになってしまうのである。 (帰りには食料がもらえるから?)

彼らと話をしてみると飲食業界の面白い裏話が聞けるし、
回転寿司公社のコラムよりは為になる。

この店にアルバイトに来ている仲野さんも、先月まで近所の寿司屋さんで働いていた。
前のお店は彼女がいなくなって打撃を受けたと思われるくらいに、よく働き愛想が良い。

実は彼女は接客の仕事が好きなのであるが余りにもお店が暇なので転職してきたと言う。

『 やる気のある人材を適切な職場に置く事は、仕事を進める上では基本の基本 』 と
力説する彼女は、フリータ歴5年の強者である。

年末はいろいろなお店でアルバイトを募集し始める。

使い捨てと割り切って勤務時間や学歴(顔や身体の好みだけ)で採用するお店もあるが、
優秀な人材を確保するには今がチャンスです。

回転寿司の味を決める職人も大切だが、接客担当も重要な仕事です。
当然、熟練者のプロの仕事です。

バイトを低賃金で使い捨てにしていませんか?

アルバイトと店長だけのお店も多い。
バイトの協力が無ければ回転しないお店も多いはずです。

来年もまた新年から彼らに一所懸命に働いて貰うために年末には、臨時ボーナスを渡してみては?

やる気のある連中が、もっとやる気になりますよ。
勿論、拙僧にも当てはまる事です。 よろしく社長さん!